『傷と跡』

まだ火照りの残る頬に、ひやりとした指先が触れる。そのまま鼻筋の横をなぞり、ピタリと止まった。 「ここの傷って、どうしたの?」 何を話し出したかと思えば、情緒もクソもない。今は無い傷の話をしているのだろう。いつもは何も言わ…

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